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PRESS #5 ディベート大会、前から見るか?裏から見るか?

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PRESS #5 ディベート大会、前から見るか?裏から見るか?

 やや日にちが空きましたが、去る6月11日、当連盟主催の第19回全日本学生新人ディベート大会が無事終了いたしました。選手の皆さま、および関係各位の皆さまには大変お世話になりました。

 さて、「ディベート大会」と聞くと、恐らく多くの方が思い浮かべるのは、白熱した試合会場の様子ではないでしょうか。もちろんその熱い試合こそが大会の究極の目的ですが、実は大会の裏側でそれを支えている「運営」にも、様々なドラマが隠れています。本日のCoDA PRESSでは、実際に先日の新人ディベート大会において実行委員長を務めた久島さんに、運営という立場で大会を見る魅力やご自身の経験について寄稿を頂きました!

 

 

 こんにちは。6月に行われました、第19回全日本学生新人ディベート大会(いわゆる、大学の「新人戦」)の実行委員長を務めました、久島と申します。今回は、その経験について寄稿してくれないかとのことでオファーをいただきまして、僭越ながら筆を執ります。

 

 ディベートをしている大学生、あるいは中高生の大半が、ディベートには選手として関わることが多いかと思います。事実、私も昨年の第18回の新人戦で運営をやるまでは選手として大会に出る以外のことはありませんでした。運営って大変そう、面倒くさい……そう思う人もいるかもしれません。しかし、運営に携わって、殊に今回は実行委員長として大会全体を引っ張る立場で、見えてきたもの・得られたことは沢山あります。

 

【1 世界の拡がり】

 純粋に、新たに知ることが数多あります。まず受けたのは、「こんなに多くの人が、こんなに前から1つの大会のために動いているのか」という印象です。本大会では、1月の終わりごろに実行委員長の依頼が来て、大会当日の3か月前には初回のミーティングがありました。裏側でどんなことが行われているか知ることで、自分が普段参加しているディベート大会を見る目も変わってくると思います。たとえば、「大会の運営側を経験し、期日までに返信をいただけなかった方にリマインドのメールを送る手間を知ってから、自分が選手やジャッジ・当日スタッフとして依頼を受けたときには返信を早めにするようになった」なんて声も聴かれます。

 他に、共に大会を創ったメンバーと仲良くなり人脈が拡がることも、1つの価値ある成果だと思います。そんなこんなで、それまで知らなかったもの・人を知れるでしょう。

 

【2 個人の成長】

 そうした世界の拡がりは、何も感覚的な問題にとどまらず、成長を与えてくれると思います。今回の私を例に挙げましょう。

私は、中学の部活では副部長、高校では別段特に何もなく、大学でも弁論部内のディベート部門の責任者といった具合に、どちらかというと自らが積極的に動く仕事を主にしていました。中高の同期が「お、相変わらずの中間管理職、おつかれさま」と言うくらいに。ですから、今回の実行委員長は、私にとって「長」として全体を動かす初めての経験でした。

「長」は、自らが動くというより、全体のタスクを把握したうえで、誰に何を振るのかを判断する仕事です(もちろん自分でこなすタスクもありますが)。誰かに仕事を振れば、それを完遂させるのはその人の仕事です。私の尊敬する弁論部の部長の言葉を借りれば、究極的には私はその人が仕事を無事に全うしてくれることを「祈る」しかできません。とはいえ、成功率を上げるためには、各メンバーの仕事の持ち具合はどうか、体調はどうか、新歓や試験の期間などの忙しい時期と被っていないかまで把握したうえで判断する必要があります。そこで、「長」という仕事は、全体を俯瞰して動かすことが求められるけれども、実は誰よりも個々とのつながりが求められるものなのだ――そう気づけたことが、今回私が得た学びの中で最も大きかったように思います。

 こうしたマネジメントは、社会に出てから(あるいは所属する部やサークルの運営も然りでしょう)必要とされるスキルだと思います。しかし、一方で、それが学べる環境は限定的です。現行の学校教育では、遍く誰もが習得の機会を与えられているようにも見えません。そうした観点からも、実行委員(長)をやる意義は大きいでしょう。

 

【3 全体の成長】

 「与えられた仕事をただこなすのは退屈」…そんな声もあるかもしれません。というか、私もそれは嫌です。しかし、実際にはそんなことはありません。私たちに求められるのは、昨年と全く同じ大会を繰り返すのではなく、あくまで過去の蓄積を参考にして、新しい二つとない大会を創り上げることです。なぜ「二つとない」かって、全く同じメンツで同じ大会を運営することは少ないからです。

たとえば、今回の大会を見てみましょう。大会後の「振り返り講座」は、昨年の新人戦に出場した後に自ら参加してみて良かったため、今年はさらに大きな規模で行いたいと思ったある実行委員の声で動きました。また、「指導者紹介制度」は、指導してくれる人に恵まれないもののディベートをしたい人に向けて、ある実行委員2人が考案して今年から始まったものです。この他にも枚挙に暇がありませんし、こうした表立った企画以外にも、(私には原理はよくわからないのですが????)Googleフォームで届いたジャッジやスタッフの参加可否をExcelに自動で反映させるシステムをつくるなどしていました。大会はそうした、「あなたがいなければ、できなかった!」の集合でできています。あなたにしか織りなせない何かが確かに存在し、それが大会に新たな彩りを与えます。ですから、個人としての有効性感覚もある一方、大会全体ひいては議論空間全体としてもより良きものへと前進していくのであります。

 

「大会でこんな企画をやってみたい」というアイデアがある人。是非、運営をやってみてください。楽しみにしています。

反対に、「自分は選手として出場する余裕がないし、そんな人間が関わらない方がいい」と思っている方。違います。むしろ逆です。選手の目線では気づかない問題点にあなたなら気が付けるかもしれません。議論空間に触れ続けることは、あなたにとって糧となるでしょうし、そうした観点からの指摘は大会にとっても有益になり得ると思います。

「自分はこれまで『長』なんて仕事やってことなかったし…」と考えあぐねている方。私もそうでした。でも、「これまでやったことがないから」で止まっていてはそこで終わりです。本当に多くの人が支えてくれます。そうした支え合いで成り立っています。

 

繰り返しになりますが、大会は「あなたがいなければ、できなかった!」の集積です。各メンバーの持つ、それぞれのアイデア、問題意識、もっと言えば世界観……そうした色が、重なり合って混ざり合って、真っ白なキャンバスに新たな彩りを与えます(なぜ真っ白かって、それは今年開催された大会が来年も開かれる保証なんてどこにもないからです。事実、来年の新人大会の会場を抑えるのもかなりの困難が伴いました)。誰もができ、それでいて、あなたにしかできない、そんなものであるように思います。

 

次はあなたが、実行委員(長)の番です。あなたの世界を、見せてください。

  2017/08/16
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