【全日本2019特集】大会に出場してみよう②

前回の記事では、大学からディベートを始めた溝口さんの記事を紹介させていただきました。
 今回は、中高時代からディベートをしている畑野信太郎さんから、前回と同様のテーマで寄稿していただきました!大学でもディベートを続けた理由や、畑野さんが感じたディベートの取り組み方への違いについても触れてくださっています。
大学生の皆さんにはもちろんのこと、中学生・高校生の皆さんにも参考になる内容となっております!是非ご覧ください。


畑野と申します。今回は、「中高でディベートをしていた人へ」ということで、僕が大学でもディベートを続けた理由や、僕の思う大学ディベートの楽しさについてお話しさせていただきます。

①ディベートを続けた理由
 僕が大学でディベートを続けた理由は、わりとネガティブなものでした。
 高校時代、僕はほとんど結果を出せておらず、高3夏の甲子園でも、ろくにプレパをしなかったことから地方予選で敗退しました。結果もそうなのですが、それ以上に「頑張りきれなかった」ことに大きな悔いが残りました。
 特にそれを強く感じたのが全国大会を観戦していたときです。自分が一度も上がれなかった舞台で、同期の選手が、それまで共に努力してきた仲間と共に、勝って、あるいは負けて涙を流している姿を見て、泣けるほど努力を捧げてきたということに強い羨ましさを覚えました。それで、「大学ではこいつら以上に努力してやろう」という意気込みで大学ディベートに足を進めました。

②大学ディベートの楽しさ
 このような経緯で、いわゆる「ガチ勢」的なディベートをしたくて大学でも続けることにしました。周りを見ていても、高校から選手を続けている人は、ディベートにかなりのリソースを割く人が多いように思います。
 ただ、実際に大学ディベートをしていく中で、「それだけがディベートの楽しみ方ではないな」と思うようになりました。
 もちろん、努力を重ねて、全力で勝ちにいくディベートも楽しいです。練習試合を重ねて、作り込んだ議論・スピーチで勝利をもぎ取る喜びは、何物にも代えがたいものがあります。一方で、「別に勝てなくてもいいから、それなりのプレパでゆるく楽しもう」という感じで取り組むのも、また別の楽しさがあると思うのです。
 僕自身、勝ちたい気持ちはあるのですが、毎回全力で挑めるほどのモチベーションはないですし、実生活が忙しい時期もあります。そうしたときに、「全力でやれないなら出ない」よりも、「趣味でディベートをやっているのだから、楽しめる範囲でやる」ほうが自分には合っているように感じました。
 チーム間で目的にズレが出るのはよくないので、ゆるく出たいときは最初からそれを伝えた上で組んでほしいと打診するのですが、「ゆるくやろう」と決めた上で、ただ組みたい人と組んで、わいわいとプレパして挑んだシーズンは、全力で勝利を目指したシーズンとも甲乙つけがたい、とてもいい思い出になっています。
 これは個人的な考えですが、僕は自己成長や社会で役に立つスキルの習得を目指してではなく、単純に楽しいからディベートをしています。だとしたら、極論ですが、一切の成長を目的としなかったとしても、趣味として楽しめるのであれば、それも一つの取り組み方なのではないでしょうか。

③中高時代にディベートをしていた方へ
 中高でディベートをしていても、大学に入ると辞めてしまう方が多くいます。これは、ネガティブな理由からディベートと距離を置いたのではなく、単に「大学では新しいことをしよう」ということなのかなと思っていますし、そうであってほしいです。
 一般に、高校時代の部活と同じことを大学で続ける人の方が割合としては少ないでしょうし、ディベート甲子園に青春をかけ、仲間とともに挑んだ夏を思い出にして引退できるのは、ほとんど理想的なディベートとの付き合い方だと思います。
 ただ、過去に「部活」として全力でディベートに取り組み、引退した方にこそ、「趣味」として再びディベートを楽しんでほしいと思っています。
 ディベートは、シーズンの区切りがあるので、一時的に戻ってくるということはしやすいです。学業や他のサークルの合間を縫って、久々にディベートに取り組んでみることは、きっと楽しいのではないでしょうか。
 また、大学ディベートではパートナーの制限も少ないです。高校時代のメンバーで久しぶりに集まることもできれば、高校時代によく戦っていた相手とチームを組んでみることもできます。フォーマットとしても、高校ディベートとほぼ同じ形式になっているCoDAの全日本はとてもいい機会だと思います。対戦相手も同年代ばかりですので、知った顔もいるはずです。是非、高校時代を思い出しながら、再びディベートの楽しさに触れていただけたらと思っています。


畑野さん、ご寄稿ありがとうございました。次回は、「大学ディベート独自の面白さ」という観点で書いていただいた記事を掲載する予定です!