【全日本2019特集】大学の垣根を超えたディベート活動①

12月7日・8日に開催する、全日本大学ディベート選手権大会に向けて、ディベートの魅力をお伝えする、特集記事を複数回にわたって掲載していきます。

この特集では、実際にディベートの大会に関わっている人たちから、テーマを決めて寄稿をしていただいたものを紹介していきます。
今回は、昨年大会に出場された阿部昂さんに、大学の垣根を超えたディベート活動について寄稿をしていただきました。
「大学にディベートサークルがない」「大学をまたいでチームを組むのが不安に感じる」など大学を超えてチームを組むことに迷っている方は是非ご覧になってください!


こんにちは。今回「大学を超えたディベート活動」をテーマに記事を書かせていただきます、阿部昂です。昨年の全日本に出場した際の経験を基に、違う大学の選手とチームを組むことの楽しさや、逆に組む時に抱えていた不安などについて書いていこうと思います。

①異なる大学間で組む楽しさ
 まず、違う大学に通う人たちとチームを組む際の特徴として、「その人とチームを組む理由」をきちんと考えられるということがあると思います。私は高校時代からディベートをしており、大学に入ってからも高校の頃の先輩が作ったサークルに所属することになりました。そのため、CoDA新人戦に出場した時は特に深く考えることもなくサークルの中でチームを組んでいました。しかしその後12月に開催される全日本大会は、サークルの他メンバーの都合が合わないなど諸事情があり、新人戦の打ち上げの席で声をかけてくれた宍戸君とチームを組みました。同じサークルの人と組んだ新人戦と、大学の違う宍戸君と組んだ全日本を振り返って比べてみると、全日本大会の方がチームやパートナーのことを考えることが多かったです。
 サークル内でチームを組む場合、「同じ大学・サークルだから」ということで、チームを組む理由が最初からある程度できているのですが、他大の選手と組む時はこうした要素がありません。そのため、「この人のこういう所を同じチームで見てみたい」ということをしっかりと考えることになりますし、実際の試合や大会準備の中でも、ディベートの楽しさ以外にその人と組む楽しさがありました。
 また、その裏返しとしてチームメイトに対しての責任感も強くなります。自分と組んでくれた以上、相手にも組んでみて楽しかったと思ってほしいですし、期待に応えられる働きをしたいので普段の試合準備にも一層気合が入ります。もちろん、同じ大学の人と組んでもそうした責任感はあると思うのですが、やはり個人同士でチームを組むという性質が強くなると、こうしたことを考える機会が新人戦の時よりも多かったなと感じます。
特に私の場合、パートナーの宍戸君は高校時代何回も対戦した相手であり、その時の戦績は正直負けの方が多いという相手だったので、「彼があれだけのスピーチをできる環境を整えたいな」と考える時が間々ありました。また、彼が2反でマクロの話を広げていくところも聞いていて非常に楽しかったし、参考にもなりました。結果的には議論にも粗が目立ち、敗戦も結構多かったのですが、勝敗にかかわらず一緒に試合をしていて楽しいと感じる場面の多いシーズンでした。

②不安だったところ
 おそらく、異なる大学間でチームを組む時に多くの人が心配するのは、「試合準備がやりづらいのではないか?」ということだと思います。ただこれは、結論から言うとあまり難しくはありませんでした。原稿管理はグーグルドライブなどを使うと結構簡単にできましたし、ミーティングや議論の相談もラインで行えました。ただ、オンラインの練習試合をするときに、チームで1か所に集まるということができず運営にご迷惑をおかけしたのでその辺りは気を付ける必要がありますが、準備のやりやすさという点では同じ大学の人たちと組んだ時とそれほど変わらなかったです。なので、そうした心配はせずに、組みたい人がいれば声をかけてみるのが一番だと思います。
 また、もう1つの問題として同じ大学・サークル所属でないと「組んでほしい」という声かけをためらってしまうということがあると思います。恥ずかしながら、私も昨年は宍戸君に声をかけてもらったから無事にチームを組めたという状況でした。そういう性格ですので「他大の人には声をかけづらい」という人の心境には非常に共感できるのですが、一方で、大学ディベートを1年間続けてみて大学間の壁というのはほとんどないのかもなとも感じています。
 例えば、練習会で東大弁論部の方々と対戦した時は議論の内容についていろいろなアドバイスをいただきました。また、オンライン練習試合や全日本の本選で対戦した金沢大学の2反の方とは、今年の新人戦でスタッフをやっていた時に再会し、「あの時対戦しましたよね!」という話で盛り上がれて非常に楽しかったです。彼と話していて、たとえ違うチームに所属していたとしても、論題についての話や大会の思い出は共通ですから、試合が終わればチームメイトも対戦相手もないのかもしれないな、と思いました。皆さんも、大学やサークルが違うけど組みたい、と思う人がいれば気兼ねせず、練習試合を申し込むぐらいの感覚で声をかけてみてください!

③最後に
 ここまで色々と書いてきましたが、こうしたことは人から説明されるよりも、一度チーム
を組んでみて、体験してみるのが一番だと思います。自分の大学にはディベートサークルが無いという方、サークルには所属しているがいつもとは違うメンバーとやってみたいと思っている方、迷っているならまずは大学やサークルにこだわらずに、チームメイトを探してみましょう。一度動き出してみれば試合準備なども案外やりづらくないですし、互いに刺激のある、楽しいシーズンになると思います!


阿部さん、ご寄稿ありがとうございました!今後も様々な方からの寄稿を紹介していく予定です!